事業計画・報告

平成27年度 事業計画

plan2015.pdf
平成27年度は、都道府県・政令市が策定した「家庭的養護推進計画」を実行に移す最初の年である。
社会的養護の推進については、この10年間において数度の関係法の改正等が行われ、制度の改善や予算措置が図られてきた。
里親制度についても、里親の区分が明確にされ、平成21年には、里親手当の大幅な引き上げが行われ、里親委託率アップの目標値も設定された。そして、里親支援機関の設置や里親支援専門相談員が配置され、施設における直接処遇職員の配置基準の改善など、里親委託率の向上に向け様々な対策が講じられてきた。
しかしながら、こうした対策は、むしろ施設の小規模化を図り、施設の運営を充実するための予算措置であり、従来行われてきた「里親促進事業」としての養育里親家庭等に対する支援や里親開拓等のための里親会活動への支援ではない。
「家庭的養護推進計画」は、今後、十数年をかけて3分の1を里親とファミリーホームに委託しようとするものであるが、里親に対する財政措置等の援助は、十分とは言えない状況である。
また、里親への委託児童には、被虐待児童など養育困難といわれる児童が増加しており、養育の専門性が求められているが、里親のスキルアップのための研修に対する配慮も十分ではない。さらには、処遇困難な児童の受入れに当たっては、里親家庭において大きな負担を強いられているにもかかわらず、里親家庭に対するそのための配慮はほとんど行われていない。
全国里親会としては、一般国民に里親制度の周知を徹底し、社会的養護における家庭養護の必要性を理解することができるよう対策を講じて行かなければならないが、「子どもの最善の利益」の追求だけでは、里親に対する支援は不可能であり、里親のリクルートを行うことについても困難である。
そのためには、養育家庭に対する措置費等の財政的支援を含めたよりきめ細かな支援への配慮と里親の資質の向上のための研修等の実施、更には、里親のなり手の確保と地域里親会活動の活性化を進めなければならない。
また、昨年に引き続き国庫補助による里親支援調査研究事業を実施するとともに、ブロック研修会の開催、『里親だより』の発行・配布等の事業を行い、制度の周知と里親の資質向上を図ることとする。

[実施事業]
1.里親制度に関する調査研究事業
2.里親の育成事業
3.里親制度の普及啓発事業
4.里親に対する研修及び研究協議事業
5.里親相互の連絡協調事業
6.災害を受けた里親及び児童等に対する支援
7.関係機関団体との連絡調整事業
8.その他、法人の目的を達成するために必要な事業

1.里親制度に関する調査研究事業 (特別会計 国庫補助事業)

里親委託の促進及び里親の養育を支援するための方策等について、全国里親委託等推進委員会において、引き続き調査研究を行う。
1)調査研究テーマ
①里親等実態調査
・ 登録里親の状況
・ 養育里親、専門里親(未定)の状況
・ 受託児童の状況(養育困難の事例等)
②里親リクルートに関する調査
児童相談所の状況(全数調査)

2)実態調査の結果分析及び報告書等の取りまとめ等
① 全国里親委託等推進委員会の開催
(調査内容…調査項目の検討、調査結果の分析)
② 里親が受託する子どもに関する調査の実施…里親等実態調査
③ リクルートに関する中間調査結果を受けて本調査を実施
④ 調査結果の分析・検討
⑤ 調査研究報告書の作成・配布
[配布先]
都道府県・市(児童福祉主管課)、児童相談所
地方里親会、ブロック研修会参加者、女性セミナー研修会参加者等
児童養護施設、乳児院等関係施設
子どもの虹情報研修センター、
その他(関係機関・大学、施設等)

2.里親の育成事業

里親会活動による里親支援や里親会の活動の活性化等に関する研修を実施する。
① 里親支援専門相談員と地域里親会の代表者(リーダー)で取り組む里親支援活動に関する研修(SBI子ども希望財団 助成事業)
・ 日 時  7月 (1泊2日)
・ 場 所  都内  研修施設
② 地域里親会における女性リーダーの育成及び活用に関するセミナーの開催(フィリップモリス助成事業)
・ 東日本(都内研修施設) H28年 1月(1泊2日)
・ 西日本(鳥取県)     H27年10月
・ 参加者 地区里親会女性会長、里親会運営に携わる役員、若手次期リーダー等
③ 「社会的養護経験者ユースの集い」の開催
(ユースの活動については、日本財団が東京養育家庭の会へ助成する)
・ 東日本 平成27年 7月11日~12日 長野市
・ 西日本 平成27年10月24日~25日 鹿児島県霧島市
・ 参加者 社会的養護経験者 ユース 東日本 15名
西日本 20名
④ 2015IFCOシドニー世界大会への参加(日本財団助成事業)
・参加者登録費(里子10人分)
ユースの派遣(旅費滞在費等3人分は、東京養育家庭の会で実施)

3 里親制度の普及啓発に関する事業

1)機関紙「里親だより」の刊行 (特別会計:日本財団助成事業)
里親に関する情報の提供、里親制度や養育上のQ&A、地区の活動状況の紹介などを編集し、会員等に配布する。
発 行  年4回(5月、8月、11月、2月)
A4版、16頁
配布先  里親会、全国里親会会員、都道府県・市、児童相談所、
乳児院、児童養護施設 その他(関係機関、団体等)
発行部数 各回 10,000部
編集委員会の開催 等
2)里親リクルートのためのチラシの作成、配布(楽天未来のつばさ財団助成事業)
委託率の向上を図るため、里親リクルートのためのチラシを作成し、広く一般に配布することにより、里親制度の普及を図る。
3)里母の会によるPR活動
関係団体との連携による里親制度の紹介等
4)「月刊里親だより」(マンスリーレター)の発行
毎月10日発行を目途に、トピックスを取り上げ、全国里親会メーリングにより情報提供を行う。

4.里親に対する研修及び研究協議事業

1)里親会長会議の開催
・ 日 時 10月24日(日)10時~12時
・ 場 所 霧島ロイヤルホテル
2)女性会長会議の開催
・ 日 時 10月25日(日)8時~9時30分
・ 場 所 霧島ロイヤルホテル
3)里親会全体会の開催(一般会計)
・ 日 時 10月25日(日)11時30分~11時55分
・ 場 所 霧島ロイヤルホテル

4)地区別里親研修会開催事業(特別会計:日本財団助成事業)
全国8ブロックにおいて開催し、里親制度の促進に功労のあった里親及び関係者の顕彰を行うとともに、里親が抱える様々な問題についてテーマごとに分科会等による検討会や里子の養育に関する諸問題についての研修を行い、里親の資質の向上を図るとともに、里親制度について一般に周知する。

ブロック別開催地等
地 区 開催予定日 開催地 参加者数
北海道地区  9月 6日 北広島市 300名
東北地区   7月18・19日 青森市浅虫 100
関東甲信越・静地区   7月11日 長野市 300
東海・北陸地区  6月 6・7日 黒部市宇奈月温泉 200
近畿地区   7月11日 堺市 260
中国地区   6月27・28日 広島市 500
四国地区   9月 6日 高松市 100
九州地区   10月24・25日 霧島市 300

5.里親相互の連絡協調事業

1)ホームページの充実(管理・更新)等(一般会計)
全国里親会の活動状況、会員の動向・会員向けの情報提供サービス、地方里親会の事業の開催状況(開催時期や募集等)などリアルタイムで最新情報を提供する。
2)メーリングリストによる情報交換、質疑応答、意見交換などの管理
3)第60回全国里親大会の開催
厚生労働省が提唱する「里親を求める運動」の期間(毎年10月1日~31日の1か月間)に10月24日(土)・25日(日)鹿児島県霧島市「霧島ロイヤルホテル」において全国里親大会を開催する。大会は、5年に1回開催する記念大会であり、里親制度の進展に功労のあった関係者に対する厚生労働大臣の表彰の顕彰を行うとともに、基調講演、行政説明、分科会等を行う。
4)日本フォスターケア研究会(JaFCA)への協力
平成26年2月14日に発足した「日本フォスターケア研究会」(JaFCA)に対する研究発表会等への協力

6.災害を受けた里親及び児童等に対する支援(特別会計)

1) 東日本大震災の被災児童に対する支援を引き続き実施する。
①「東日本震災子ども救援基金」の募金活動を継続する。
② 被災児童の支援(高校を卒業し、大学等への進学や就職に際し祝金を贈呈する。)
③ 里親に委託されている児童を対象として行われる、一泊旅行によるレスパイト事業(日蓮宗青年部事業)に対する岩手県里親会への一部助成。
24年度(東京)  25年度(大阪) 26年度(東京)
④〈年忘れ里親子キャンプ~里親と里子の集い〉の実施
宮城県なごみの会及び仙台市ほほえみの会と共催し、県内施設において里親子キャンプを開催する。
宮城県内 1泊 参加者 200人
2) その他大規模災害に対する里親及び児童等に対する支援
地震、津波、豪雨など大規模自然災害発生の場合に適用することができることとし、運営委員会において協議決定する。

7. 関係機関・団体等との連絡調整(一般会計)

全国社会福祉協議会、全国児童養護施設協議会、全国乳児福祉協議会、全国児童家庭支援センター協議会等の関係団体との連絡を密にして、制度の推進と啓発及び周知徹底に努めるとともに、報道機関等への積極的な働きかけにより、国民一般への制度の周知と広報への協力を得る。

8.その他、法人の目的を達成するために必要な事業

1)JX里親家庭奨学助成への協力
全国社会福祉協議会が、JXホールディングス株式会社から寄付を受けて、里親家庭の委託児童や児童養護施設、母子生活支援施設の入所児童が大学や専門学校等に進学する場合、支度金の一部として10万円を助成しており、本事業に協力し、里親会会員等への周知や申請の取りまとめ、奨学金の送金等を行う。
2)里親賠償責任保険の代理業務
日本興亜損害保険株式会社との契約により、里親会の会員を加入者とする「里親賠償責任保険」について、加入申請の受付や名簿の整理、保険料の徴収・精算などの事務処理を行う。
3)厚生労働省への要望等
地方里親会や里親会会長会議等からの要望を取りまとめ、その実現が図られるよう、全国里親会として厚生労働省へ要望書を提出するとともに、地方里親会や里親等が有する課題解決のための情報の提供等緊密な連携を図り、里親制度の充実発展に寄与する。
4)全国里親会運営委員会定例委員会の開催
定款第48条に定める委員会を設置し、事業の円滑な推進を図るとともに、懸案事項について定期的に検討協議する。
○「中長期計画検討委員会」の設置
○「大規模自然災害対策委員会」の設置
5)全国里親会中長期ビジョンの策定 (楽天未来のつばさ財団 助成事業)
平成27年度を始期とする「家庭的養護推進計画」の推進に当たり、全国里親会においても15年先の社会的養護、特に里親制度のあるべき姿を描き、「全国里親会中長期ビジョン」を策定し、国や都道府県・市等に対して提言要望を行う。

平成26年度事業計画

Doticon_blk_Down.pngplan2014.pdf
里親委託の推進については、児童養護施設が「家庭的養護推進計画」を策定し、都道府県において、26年度末までに調整を行ったうえ、27年度を始期とした5年ごとの「都道府県推進計画」を策定することとしている。
平成26年度は、都道府県と各施設との調整期間であり、各里親会においては、27年度から始まる各都道府県の推進計画の策定に関して、大きな関心を寄せて行かなければならない。
これまで、里親支援機関の充実や里親支援専門相談員の配置など、里親委託率の向上に向け様々な対策が講じられてきたところであるが、全国里親会としても、里親支援体制の強化等による里親のなり手の確保と里親の資質の向上を図るため、更に、地域里親会活動の活性化を進めることとする。

全国里親会は、昨年に引き続き国庫補助による里親支援調査研究事業を実施するとともに、ブロック研修会の開催、『里親だより』の発行・配布等の事業を行い、制度の周知と里親の資質向上を図ることとする。
特に、昨年、アジアで初めてのIFCO世界大会を大阪で開催し、海外や国内の多くの関係者が参加し、シンポジウムやワークショップにおいて、家庭養護に関する諸外国の制度等について学び、協議するなど、里親だけでなく行政、研究者、施設職員等にとっても多大な成果を上げることができた。この成果を今後の制度の促進に資することとする。
また、全国里親会の運営は、会員からの会費収入を主な財源としており、各里親会の会員等規模に応じて会費を負担していただいているが、経費の節減に努め、運営の充実を図ることとする。
[実施事業]
里親制度の普及啓発事業 #2014plan1
里親の育成事業
里親制度の普及啓発事業
里親に対する研修及び研究協事業
里親相互の連絡協調事業
関係機関団体との連絡調整事業
1 里親支援促進調査研究事業(特別会計:国庫補助事業)
里親委託の促進及び里親を支援するための方策等について、「全国里親委託等推進委員会」において、引き続き調査研究する。

1)調査研究テーマ
①里親研修のロールプレイング集の作成
里親委託や委託後の具体的事例に基づき、実際の場面を設定し、個々の問題に対する解決方法について研究する。

②里親サロン運営マニュアルの作成
里親会等が行う里親サロンの運営方法について、25年度調査に基づき「里親サロン運営マニュアル」を作成する
③里親リクルートに関する調査研究
里親の委託率の増加を図るためには、里親の新規開拓が必要であるが、そのための方策に関する取り組みについて調査し、里親のリクルートについて研究する。

2)調査研究の実施及び報告書等の取りまとめ等
① 全国里親会里親委託等推進委員会の開催 (調査内容の検討…調査項目の検討、地区の選定)
② 調査票による調査及び実地調査の実施 (先進地区について3から5か所を対象)
③ 調査結果の分析・検討
④ 事例集、研究報告書の作成・配布
[配布先]
都道府県・市
児童相談所、児童養護施設、乳児院等関係施設
地方里親会、ブロック研修会参加者
子どもの虹情報研修センター
その他(関係機関・大学、施設等)
2 里親制度の普及啓発事業(特別会計)
1)機関紙「里親だより」の刊行 (特別会計:日本財団助成事業)
里親に関する情報の提供、里親制度や養育上のQ&A、地区の活動状況の紹介などを編集し、会員等に配布する。
発 行  年4回(6月、9月、12月、2月)
A4版、16頁
配布先  都道府県、里親会、会員、児童相談所、
乳児院、養護施設 その他(関係機関、団体等)
発行部数 各回 8,000部
編集委員会の開催 等

3)里親会全体会の開催(一般会計)
全国里親会の事業等について協議するため、里親会会長会議を開催する。
・ 日 時 10月18日(土)
・ 場 所 岡山国際ホテル

4)ホームページの充実(管理・更新)等(一般会計)
全国里親会の活動状況、会員の動向・会員向けの情報提供サービス、地方里親会の事業の開催状況(開催時期や募集等)などリアルタイムで最新情報を提供する。
3 里親の研修及び里親相互の連絡協調
1)地区別里親研修会開催事業(特別会計:日本財団助成事業)
全国8ブロックにおいて、里親が抱える様々な問題についてテーマごとに分科会等による検討会や里子の養育に関する諸問題についての研修会を開催し、里親の資質の向上を図る。また、新しい里親を開拓するため、里親制度に関する相談コーナーや基礎講座を設ける等、一般からの参加者も対象とする。

ブロック別開催地等

地区 開催日 開催地 人数
北海道 9月7日 北海道岩見沢市 200人
東北 7月19日ー20日 福島県いわき市 150人
関東甲信越・静岡 7月6日 静岡県沼津市 400人
東海・北陸 6月7日―8日
愛知県蒲郡市 200人
近畿 7月12日―13日 滋賀県大津市 300人
中国 10月18-19日 岡山麺岡山市 500人
四国 9月7日 愛媛県愛媛市 150人
九州 11月2日―3日 沖縄県那覇市 300人

2)里親会活動による里親支援や里親会の活動の活性化等に関する研修等について試行的に実施し、地域里親会に普及する。
① 里親支援専門相談員と地域里親会の代表者で取り組む里親支援活動マニュアル検討(SBI子ども希望財団助成事業)
・ 日 時 7月26日(金)~28日(日)
・ 場 所 セミナーハウス クロスウェーブ幕張(千葉市美浜区)
② 地域里親会における女性リーダーの育成及び活用に関するセミナーの開催
③ 養子縁組希望者に対する里親認定前研修や里親会とのかかわりについての情報交換及び課題検討の実施
④ 「社会的養護経験者ユースの集い」の開催(日本財団)
・  日 時 平成26年12月29日~30日
・  場 所 (代々木オリンピックセンター)
・  参加者 社会的養護経験者 ユース 20人
4 東日本災害支援事業
東日本大震災の被災児童に対する支援を引き続き実施する。
1)「東日本震災子ども救援基金」を継続し、募金の受け入れを行う。
2)被災児童の支援(高校を卒業し、大学等への進学や就職に際し祝金を贈呈する。)
3)震災により里親に委託されている児童を対象として、一泊旅行によるレスパイト事業を実施する。
東京(24年度)  大阪(25年度)
5 関係機関・団体等との連絡調整(一般会計)
全国社会福祉協議会、全国児童養護施設協議会、全国乳児福祉協議会、全国児童家庭支援センター協議会等の関係団体との連絡を密にして、制度の推進と啓発及び周知徹底に努めるとともに、報道機関等への積極的な働きかけにより、国民一般への制度の周知と広報への協力を得る。
6 その他、法人の目的を達成するために必要な事業
1)JX里親家庭奨学助成への協力
全国社会福祉協議会が、JXホールディングス株式会社から寄付を受けて、里親家庭の委託児童や児童養護施設、母子生活支援施設の入所児童が大学や専門学校等に進学する場合、支度金の一部として10万円を助成しており、本事業に協力し、里親会会員等への周知や申請の取りまとめ、奨学金の送金等を行う。

2)里親賠償責任保険の代理業務
日本興亜損害保険株式会社との契約により、里親会の会員を加入者とする「里親賠償責任保険」について、加入申請の受付や名簿の整理、保険料の徴収・精算などの事務処理を行う。

3)厚生労働省への要望等
地方里親会や里親会会長会議等からの要望を取りまとめ、その実現が図られるよう、全国里親会として厚生労働省へ要望書を提出するとともに、地方里親会や里親等が有する課題解決のための情報の提供等緊密な連携を図り、里親制度の充実発展に寄与する。

4)全国里親会運営委員会の設置及び定期委員会の開催
定款第48条に定める委員会を設置し、事業の円滑な推進を図るとともに、懸案事項について定期的に検討協議する。